先日、あんぷらぐどボイトレ受講生男性(60代)の個人練習のお手伝いをしました。
この方は何かイベント出演のある時は、
月1,2回各60分ほどギター伴奏&ボイトレ&歌唱指導しています。
今回は九月に幸手のデイケア施設で歌うことになりましたので、その練習です。
また8月20日にうちで第47回あんぷらぐど杯演奏会があり、
この方、Hさん、出場を検討中です。
で、やっていることは平たく言えば前田のボーカル・レッスンですので、
どんな流れて行っているのか、述べておきます。
前田のボイトレフローとその中身
1.身体をほぐし体の軸を作る
2.音階練習による声だし
3.曲による歌唱指導
1.について
歌う身体には「脱力と軸」が必要です。
まず肩や首などのいらない硬さ・緊張をほぐしておきます。
また、肩甲骨を回したり、背中の筋肉をゆるめます。
そして大切なのが「軸」!
身体に軸がなければ歌っていても、ふにゃふにゃ、、声に芯がないような、
抜けた声、すぐに拡散して遠くまで届かない発声になりやすい。
すると、細かな表現がしにくくなるのですね。
つまりお客様に伝わりにくい歌唱となってしまうのです。
ですのでここが発声・歌唱の基礎・土台となります。
カンタン!軸の作り方
さてどんなふうに軸を作るのかというとー
簡単です。
1) その場で軽くジャンプして着地する。
この、着地した時の姿勢が自然で無理のない姿勢です。
この時、軽く膝が曲がっていてOKです。
2) そのまま爪先で立ちます。かかとをゆっくり高~くあげて下さい。
グラかないように身体のバランスをとりながら、ゆ~っくりかかとを降ろして床につけます。
おなかに力が入っているのがわかりますか?
おなかの力を抜かないで、そのままの姿勢で発声練習に入ります。
これで軸の感覚をつかんで、歌う前はいつでもその状態になれるように癖付けしましょう。
2.音階で声出し
さてつぎに声出しです。
このHさん、最近人前デビューしましたし、ボイトレ歴も長いので、
音階で発声をチェックします。
♪ドレミファソファミレド♪ を「ア」で発声してもらいます。
Hさんの場合、
・上りと下りで声質が違ってしまう
・張りのある声を出そうとしてか、のどの奥でこもりがちの声になる
・息が口元だけで、遠く前に流れていない
・発声のポジションが一定していない
などがわかります。
自然でとても響きのある声も出ているのですが、
それがいつも一定しません。
ですので百発百中で、出せるようにするのが課題ですね。
後ろからも息を集めて声を出すイメージ
で今回は、「後ろからも息を集めて声を出す」
ということを初めてやってもらいました。
・・・ッてこれ、前田も師匠によく言われていることですけど笑
自分のうしろの空間も意識して発声をしてもらうと
声の立体感が違います。
球体の半分のような声が、きちんと「球」として聴こえる―
よく「音のつぶ」という言い方をしますが、まさにそんな感じです。
響きも重厚さが出て、太い声で声量も増している。
本人はそんなに思いきり力を入れて発声している気はないでしょうから、
気がつかないかもしれませんが、楽に声が出てかつ響きもよく、声量も増しています。
前田がそう指摘しても、当のご本人は実感がないようですけど笑
さてここまでだいたい20から25分ほど。
次は実際に曲を歌ってもらいます。
岩尾別旅情 さとう宗幸
さて今回は、Hさんの新曲「岩尾別旅情 さとう宗幸」です。
かなりマニアックな人気を誇る曲のようです。
前田は知りませんでした(/ω\)
曲目解説
「岩尾別旅情
1970年代、北海道、特に知床半島を旅する若者にとって
『岩尾別ユースホステル』は旅人に対する熱烈なもてなしの気持ちとサービスで
格別の存在であった。さとう宗幸はその頃の『岩尾別』を象徴する人物。
その当時作った歌が「岩尾別旅情」で、今でもローカルではカラオケの定番である。」
引用:ウイキペディアより
ギター弾き語り(?)はこちら:さとう宗幸 岩尾別旅情 1977 Live in Sendai
どう発声し、歌うか
Hさんとギター伴奏でこの曲を合わせるのは初めて。
はてさてまずは一通り、一番から三番を歌ってもらいました。
まずAメロ。
まだ歌い込んでいないので音程が定まっていないですが、
大きく外れないし、リズムも大きくずれません。
が!
サビ:「丘の上に咲く一輪の~」からの高音部が大変そう。
二番三番へと行くたびに、より一層高音部が出なくなりました。
三番に至っては
「出ないと思って歌っているから、高音を出そうという身体の使い方ではないですよね」
とフィードバックしたら、Hさん、
「そのとおりですよ~、高音あきらめましたもの」と苦笑い。
思ったように声が出ないので、Hさん、少しめげています。
そこで、さび部分を♪ラララ~で歌ってもらいました。
すると、歌いやすいようで、高音部も出ています。
本人もいけるかも!?と思ったようで、
ラララで数回歌った後、自分から「次は歌詞で歌ってみますね」とチャレンジ!
高音を出すための身体の準備をして、ラララで歌った時のように歌います。
はい、出ました(^^♪
ただし、最高音とその前後のフレーズでまだ力んでいて、
声をひき絞って歌っています。
ご本人もそれが気になっている様子。
ボイトレ歴が長いので、そういうところにもご本人の意識が鋭く向いていますね!
そこで、
「いちばん高音部にきたら、そこで膝をカクンと折って歌ってみて下さい」
これも前田が師匠によくいわれていることです笑
高音部でこれをやると、一瞬首・のどの力が抜けるので、
無理なく声が出やすくなるのです。
そんなこんなでHさんも、だいぶコツがつかめてきたようです。
あと本人が気になったところが、「いや~、息が続かない」ということです。
さびの部分は、結構音符が細かくなってきているので、
息継ぎをきちんと考えないと、息が足りなくなってしまいます。
また、低いところから高音部へいくフレーズ、
いうなれば山々の連なる尾根のような音階が続くため、
どこでどれくらいの息継ぎをして、
かつ同時に次のフレーズを歌える身体の準備をするか?
ということを意識しなければなりません。
Hさん、次のレベルへ行くための試練ですね(^^♪
ここで残り10分。
前に人前で歌った「しおさいの詩」をおさらいです。
しおさいの詩 小椋佳
この曲はもうHさんの18番(オハコ)といっていいでしょう。
あとはいつでも歌えるように時々声をだしてきちんと歌い、
かつより細かいところにまで気を配っていけば、
さらに表現力がUPです!
で今日気になったのが、さびの部分に声がかなり力が入っていること。
歌っていると気持ちが入ってきてつい思い切り歌いあげてしまう、
ということはよくあることです。
今日は試しにあえて「6、7割の力で歌ってもらっていですか」と歌ってもらったところ―
心地の良い声で、ストレスなく聴いていけます。
Hさん本人も悪くはないと思ったようで、
あとはこの曲をHさんがどう表現したいか?ですね。
譜面はこちらから⇒ しおさいの詩 / 小椋 佳
人前で歌う機会のあるありがたさ
冒頭でも書きましたが、
9月16日に幸手のデイケア施設で歌います。
前田とHさん、そしてあんぷらぐどボイトレ受講生のSさん(女性)の3人で
1時間歌ってきます。
人前で歌える機会があるというのは、
本当にありがたいことだと、前田は思います。
そういう機会をつくってくれている「場」があるなら、
思いきりそれに乗っかって、ぜひ参加して下さいね!
自分で主催するのもよし、その大変さがわかるでしょうから笑
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